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2007年08月18日

●ライ麦畑でつかまえて

引越しなどが重なり、読むのにかなり間が空いてしまった作品。
それでも面白かったです。

世界でいまだに読まれる名作…とかなんとか。
原作本「The Catcher in the Rye」に対して訳本の種類もけっこうあるらしく、僕が読んだのは一番メジャーっぽい野崎孝訳のもの。

この作品の何がすごいって、主人公の反骨精神、この一言に尽きると思う。
日常にありふれるもの、それを片っ端からという程に嫌悪して腹が立ってる。
その内心にあふれるものはハートマン軍曹も驚く程の罵詈雑言に溢れている、だけどそれとともに共感できる部分もある。
こいつはぶっちゃけ大人が憎いわけだ。もちろん「大人か子供か」という所に綺麗なボーダーラインが引かれているわけじゃない。
主人公のホールデン・コールフィールドの中には中途半端な大人と中途半端な子供が同居しちゃってて、その主義行動が一貫してるようなそぶりをしつつ、その実していない。
一貫してるところと言えば自分の経験と感性にしたがっている点だけだと思う。
だけど彼は彼なりの論理の元に行動を起している。主人公のグダグダとした回想と語りを聞いてると、なんとなく彼の言い分も、彼の突飛な行動も理解できる…ような気がするw
心情を理解してる読者ならともかく、そんな彼だから周りの人からは彼の言動や行動がクレイジーに見えるわけだ。彼は彼なりの言い分、経験、何よりそれを踏まえた感性で反抗してる。
これがたった3日の放浪を描いてるだけなんだから、彼の今までと今後を考えるとどれだけすごいのかわかる。
勉強はできない、スポーツも苦手、もちろん喧嘩も弱い。まるでのび太をそのまんま成長させた主人公ながら、彼の彼なりの反骨は見ていて気持ちいい、読んでてなんとなく楽しかった。

でも残念なのが1950年代のニューヨークの雰囲気はなんとなく感じられたんだけど、具体的なビジュアルが思いつかなかった事。
僕の知識が薄いってのもあるんだろうけど、当時のニューヨークってのがサッパリ思い描けなかった。
大友克洋の「さよなら日本」程度の街並みでも想像しときゃ良かったのかな、うーむ。
どっちにしろ具体的なビジュアルが思いつかない上に、そのイメージを提供しようとしてるソースが歪みまくった視界を持つ主人公ホールデンの語りなんだから当てにならないっちゃあてにならないw

まぁともかくフィービーは可愛かった。
この作品は原作も読んでみたいと思ったし、村上春樹訳もそのうち買ってみようと思いました。
読んだ人は沢山いるだろうけど、暇なら読むことおすすめしますぜ。

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